息子の入退院は9回。それでも今、入院せずに3年。母にできたのは「一緒にいること」でした

息子は2013年に統合失調症と診断されてから、入退院を9回くり返しました。それでも今は、入院せずに3年が経ちます。

今日は、そのくり返しの日々のことを書いてみようと思います。

先にお伝えしておくと、「9回を乗り越えた母の学び」のような、立派なお話ではありません。正直、記憶も少しずつ薄れてきています。それでも、今まさに「また入院……」と落ち込んでいる方に、何か届くものがあればと思って、正直に書いてみますね。

最初の入院──「息子に未来はあるのかな」

一番はじめの入院は、とにかく症状がひどいものでした。

息子がこの先どうなっていくのか、想像もつかない。「この子は、この世の中で生きていけるのかな」「息子に未来はあるのかな」──そんなことばかり考えていました。

そして、「私はどうすればいいんだろう」と。

この病気を家族に抱えた方なら、きっと同じだったんじゃないでしょうか。何もかも、わけがわからないんですよね。

5回、6回……「またか」。そして母は、原因探しをするようになった

入院の期間は、短いときで2週間ほど、長いときは3か月ほど。

回数を重ねるうちに、入院と聞いたときの気持ちは、単純に「ああ、またか」に変わっていきました。

そして同時に、頭の中で原因探しをするようになったんです。

なぜ、こんなにくり返すんだろう。病気だからなのか。何かのストレスがかかるからなのか。「なんでこんなに気持ちが弱いんだろう」なんて思ってしまったことも──弱いだなんて、失礼な話ですよね。でも当時は、本当にわからなかったんです。

親子といえども、違う人間。息子の中で何が起きているのかは、母にはわからないのですから。

主治医の言葉が、胸に刺さった

あるとき、診察に同行した際に、主治医の先生にこう聞いたことがあります。

「息子の気持ちになって考えてあげた方がいいのでしょうか」

すると先生は、はっきりこう言いました。

「息子さんの立場になんて、なれるわけがない。この病気になったことのない人が、その気持ちを考えるのは無理だし、危険です。やめた方がいい」

──胸に、刺さりました。

楽になった、というのとは違います。でも、その通りだと思いました。はっきり言ってくれて、良かったと思っています。

それからです。「なぜ入退院をくり返すのか」と考えても、しょうがない。わからないものは、わからない。そう思うようになったのは。

面会で私にできたのは、「一緒にいること」だけでした

入院中は、面会に通いました。

前の病院では週に1回。時間の制限はそれほどなかったので、1時間くらい一緒に過ごしていました。転院してからはコロナ禍の最中で、面会は1回15分、2週間に1回ほどしか会えませんでした。

入院中の息子は、淡々とした表情をしていましたね。調子が悪いときは、すぐに帰りました。いいときは、世間話をして和やかに過ごせました。

何かをしてあげられたわけではありません。私にできることは、「一緒にいてあげよう」──ただ、それだけでした。

狭い病室で3か月。頑張ってきたのは、息子です

こうして振り返ってみて、思うことがあります。

狭い病室の中で、長ければ3か月。いろんな自由を奪われる入院生活を、息子は9回、くぐり抜けてきました。

私だったら、辛いと思います。そこを頑張れる息子は、すごい。ただただ、本当にすごいと思っています。

だからこそ、「もう入院なんてさせたくない」と毎回思うんですけどね。

さいごに──わからないままでも、親にできること

正直に言うと、「こうすれば入院しなくなりますよ」と言えることは、何もありません。息子だって、今後絶対に入院しないとは限らないと思っています。

ただ、何回も入退院をくり返すということは、何かを変えないといけないのかな、とは思いました。何かをやめたり、何かを得たり。

そして今、思うのは──入院しないためには、どこかに「安心感」が必要なのかな、ということ。心の安全を感じられる居場所が、大事なのかなと。親としてできるのは、安心できる場所を用意してあげることくらいなのかもしれません。

それから、もしひとつだけ言えることがあるとすれば──子どもに病気があってもなくても、親は自分自身の人生を大事にした方がいい、ということでしょうか。

親の人生が不安定だったり、不幸だったりしたら、それは子どもにとって、不安の材料にしかならないと思うんです。「自分の人生を大切にしてほしい」──親なら誰でも、子どもにそう願いますよね。だったらまず、親である私が、その見本にならないと。病気があってもなくても、自分の人生は大事にできる。そういう姿を、少しでも見せられたらと思っています。

わからないことは、わからないままで。それでも、9回の入退院の先に、今の穏やかな日々があります。

今日も読んでくださって、ありがとうございました。

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